グラニフのインハウスデザイナーのインタビューを通して、
グラニフのキャラクターグラフィックの魅力をお届けする新連載
「graniph CREATOR STORIES」。

企画から製作、販売までを自社で一貫して行うグラニフには、
それぞれに多様な感性を持つインハウスデザイナーが、現在8名在籍。
日々新たなグラフィックを開発しています。

第一回は、「ローリングパンダズ」のような愛嬌のあるキャラクターから、
情緒溢れるパターンデザインなどを作り出すインハウスデザイナー、
北迫を紹介いたします。
グラニフの奥深い世界観を創り出すデザインの魅力とは。

ハンドドローイングが生む、自由な線

グラニフのインハウスデザイナー、北迫のデザインは、実に多様性に満ちています。コロコロと転がる愛らしいパンダのイラストを描いたかと思えば、素朴で温かみのある骨太なテキスタイルデザインも創り出しています。
「通り慣れた街の風景、部屋の片隅に置かれているオブジェ、季節ごとに異なる姿を見せてくれる草木など、日常のなかからデザインのヒントをたくさんもらっています。私がデザインを考えるうえで、強く流行を意識することはありませんが、少し角度を変えてみると違う見え方が生まれるものに興味があるような気がします。」

【左】北迫のデッサン集より。にじみの重なりのなかに新しい世界が広がる。
【右】様々に角度を変え、組み合わせながらパターンを作り上げる。

単純なドットの集合体が、いくつも集まってくると森のように見えたり、水たまりに落ちる雨粒のようにも見える。状況によって、自由にイメージを膨らませ、ストーリーを展開させていく楽しみ。北迫のデザインにはそんな魅力が潜んでいます。
「デザインは、ハンドドローイングを中心に制作しています。意図せず出てしまう、筆運びのブレやインクのにじみ。自分が制作する上では、デジタルの世界では表現しきれない部分に、心地よいゆらぎや、想像する余白が生まれやすいと思っています。」

【左】多様な草花を独自の法則で組み合わせながら、一つの絵に仕上げていく。
【右】実際に作業する様子。鉛筆で薄く下絵を描いた上に、さまざまなペンで上塗りしていく。

心を震わせる、豊かな色彩と自然な形

前職は電機メーカーでスマートフォンなどのデザインを手がけていたという北迫。
「“日常をちょっと楽しくする日用品を作りたい”とデザインの世界を目指しました。日々の暮らしのなかで使うものをデザインするのは勉強になることがとても多いのですが、プロダクトデザイナーという立場では、製品の基本的な機能性や使いやすさを中心にデザインを考えていました。グラニフで洋服のグラフィックを手がけるようになり、製品一つひとつに“遊び心”を作るような、より自由な気持ちで大胆なことにも挑戦しています。」
元々グラニフが好きで、2000年下北沢にオープンした一号店にも通っていたことから、グラニフのデザインの魅力はユーザーとしてもわかっていました。
「商品だけでなく、お店で売るところから広告まで、一貫性を持って届けやすい環境だと思います。デザイナーとして働いていても、店頭での反応をダイレクトに耳にする機会があり、自分が手がけたものが、どのように受け入れられているのかも聞くことができるのは嬉しいですね。」

【左上】北迫が大切にしているフンデルトヴァッサーの作品集。
【右上】まるで彫刻のような造形が美しい、イタリアのメーカー・アレッシィのパスタメジャー。
【左下】独特の色の滲みや光の反射を持つ、自然の鉱物やガラスの玉。
【右下】シュライヒのフィギアに混じって、ガチャガチャで手に入れたものもデスクには並ぶ。

トレンドに左右されすぎることなく、自身の感覚に素直なものづくりを行うために、好きなものを身近なところに置いているそう。
「建築も手掛けるオーストリアの芸術家、フンデルトヴァッサーは学生の頃から大好きな作家。彼の作品を眺めるたびに、既成概念にとらわれない豊かな色彩感覚に圧倒されます。また、鉱物やガラス玉、ドイツのおもちゃメーカー、シュライヒの動物のフィギュアからは自然が作り出す造形のきれいさを知ることができます。」
素敵なものに触れると感情が震えるように、彼女は自身のデザインを通じて、使う人の気持ちにそっと働きかけたいと思っているのです。

赤ちゃんの姿勢をヒントにした、
「ローリングパンダズ」

北迫がグラニフで手がけたコレクションのひとつに、愛らしいポーズを取るパンダをモチーフにした「ローリングパンダズ」があります。キャリアのなかで色々な動物をデザインに取り入れてきた北迫でしたが、制作当時、実はパンダを描くのは初めてのことでした。
「世の中には、すでにたくさんの人気パンダキャラクターが存在しています。そんな偉大な“先輩たち”がいるなかで、自分に何ができるだろうと、最初は頭を悩ませました。」

ローリングパンダズのTシャツ。ポケットの縁にもしがみついたパンダが。
ポケットをめくると、中から隠れキャラクターのバクが出てくる。

資料を紐解いたり、映像を眺めたりしながら、様々な角度からパンダを観察するなかで、北迫の目に留まったのが、戯れあいながらコロコロと床を転がる赤ちゃんパンダのやわらかな姿でした。
「フワフワした毛と小さな体で無邪気に遊ぶ様子はとても愛らしいのですが、転がっている様子を注意深く見ていると本当にいろんな体勢を取っていて、次々に形を変えているように見えてくる。この様子をそのままパターンに落としこめないだろうかと考えてみたのです。」

【左】「ローリングパンダズ」を考えたときのファーストデッサン。
【右】上下左右にモチーフを動かしながら、さまざまにパターンを手がけていく。

観察していくうちに、赤ちゃんパンダの関節が柔らかく、手足を様々な方向に曲げられることに気づきます。それをヒントにポーズを描き上げ、パターンとして構成していきました。
「おかげさまで、ローリングパンダズは、誕生してからたくさんのアイテムが生まれ、多くの方々に楽しんでいただいています。これからも自分の“好き”という感覚と、作ったものに共感してくださる方々を大切にしながら、デザインを手がけていきたいです。」

Profile

株式会社グラニフ
プロダクトディビジョン デザインセクション
北迫

兵庫県出身。大学で工業デザインを学んだのち、電機メーカーでプロダクトデザインを手がける。2015年グラニフに入社。ドローイングや水彩、ちぎり絵、ペイントといった幅広い手法を展開しながら、心を和らげ、感情に働きかけるようなデザインを目指している。

・ku-ki
「ローリングパンダズ」、「デンジャラスアニマルズ」などの、キャラクターグラフィックをメインに展開。
▶︎ ku-ki アイテム一覧へ

・Kita
「シルエットオブフォレスト」、「ナイスミドルエイジドメン」など、ドローイングや水彩、ちぎり絵といったさまざまな手法を用いたグラフィックデザインをメインに展開。
▶︎ Kita アイテム一覧へ

社内チームの連携から、新しいデザインが誕生

グラニフでは、インハウスデザイナーの高いクリエイティビティをベースに、企画チームが多様な商品展開を提案します。ローリングパンダズのベースデザインを見た企画メンバーから「手を伸ばしたバージョンもいいのでは」というアドバイスを受け、北迫がポーズを描き加えたデザインが「フォーリングパンダズ」。シャツポケットやマグカップの縁から落ちまいと手を伸ばしてぶら下がっているキュートなパンダが誕生しました。

キャップでさりげなく転がるパンダ

ころころと転がるパンダが刺繍で入ったキャップは、どんなスタイリングにも合わせやすいベーシックなアイテム。コットン素材で、オールシーズン使用可能。パンダに混ざって白黒バクもこっそり登場しています。

掲載アイテム

カップの中のパンダにも注目!

まるまった赤ちゃんパンダが、ドットのようにマグカップを一周。カップの中にも一頭ぶら下がっている遊び心のあるデザイン。光沢の少ないマットな質感で、日常使いにちょうどよい300mlサイズ。電子レンジや食洗機の使用も可能です。

掲載アイテム

じゃれ合うパンダがキュート

毬のように体を丸めた赤ちゃんパンダがどんどん落ちてきて、下の方に集まってじゃれているようなデザイン。たっぷりとした容量の、少し大きめな350mlサイズで、電子レンジや食洗機の使用も可能です。

掲載アイテム

プレーンなスニーカーにパンダが映える!

プレーンなキャンバス地のハイカットスニーカー。足の外側には上から転げ落ちるパンダたちの姿を。内側には、足元でじゃれ合うパンダたちをあしらいました。

掲載アイテム

胸ポケットをのぞけば……

袖口がリブタイプのロングスリーブTシャツ。ポケットから転げ落ちるパンダたちを前面にあしらいつつ、ポケットを覗き込むとたくさんのパンダたちと白黒バクが顔を覗かせます。

掲載アイテム

思わず触れたくなるボアトップス

ふわふわの柔らかなボア素材が、見た目にも着心地も温かいカジュアルトップス。切り返しで入った斜めのラインに沿って、ころころと転がるローリングパンダズがあしらわれています。

掲載アイテム

鮮やかなグリーン✕パンダの
キッズワンピース

フレアなシルエットのキッズワンピースは、色鮮やかなミントグリーンのボアところころと転がる胸元のパンダのデザインが相性抜群です。

掲載アイテム

パンダが全身を転がる
ベビーオーバーオール

胸元から足元にかけて転がる赤ちゃんパンダをあしらった、カットソー素材のベビーオーバーオール。長ズボンタイプで股下にスナップ釦が付いています。肩ひもの長さは結び目の位置を変えることで調整可能なので、子どもの成長に合わせて長く使っていただけるアイテムです。

掲載アイテム

プレゼントにもぴったり!
肌触りの柔らかなビブ

表はオーガニックコットンスムース、裏はパイル生地を使用した柔らかな素材のグラフィックベビービブ。首まわりに転がるパンダがとってもキュートです。

掲載アイテム

その他、北迫が手がける「ローリングパンダズ」をはじめとした
キャラクターグラフィックなどのアイテムは
「ku-ki」ページでチェックできます。

撮影/阿部高之 取材&文/猪飼尚司

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