いきもの達から、
ユーモアを掻き立てる想像力を。
誰もが知るキャラクターを
デザインする、
イラストレーター
さかざきちはるの世界観に迫る!

毎日をほっこりやさしい気持ちにしてくれる「Suicaのペンギン」や、
一度見たら忘れられない
千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」など、
これまでに多くの人から愛される作品を生み出してきた、
イラストレーターのさかざきちはるさん。

自身の代表作であり、長年のライフワークにもなっている
ペンギンのイラストを中心に展開される、
グラニフとの初のコラボレーションでは、
シンプルかつユニークな絵柄を活かした遊び心満載のアイテムが登場。
その全貌を紐解くため、さかざきさんの個展が開催されていた
ギャラリーでたくさんのペンギンたちに囲まれながら、
作品に対する想いやコラボレーションアイテムについて
語っていただきました。

取材・撮影場所:市川市 芳澤ガーデンギャラリー さかざきちはる個展「ペンギンアパートメント」
(会期2023年4月21日〜7月9日)

ペンギンと同じ目線で
想像力を膨らませる
個展『ペンギンアパートメント』へ

── 今回の個展は、レイアウトや視覚的効果にこだわった空間で、いろんなペンギンの様子を見ることができ、さかざきさんの遊び心が伝わってくる展示ですね。

ありがとうございます。芳澤ガーデンギャラリーでの個展は3回目になりますが、今回はただ作品を並べるだけでなく、わくわくする仕掛けにしたいと考えました。そこで、作品を置く什器の高さもペンギンと同じくらいの目線の高さで見られるようにしたり、ペンギンが暮らす流氷や森などをイメージした5つのアパートメントの什器を一から設計していただいたりしました。

── どのような思いが込められた展示なのでしょうか?

2015年から1、2年おきに「ペンギン百態」といって、手描きのペンギンのイラストを100点発表する展示会を伊勢丹新宿店で開催していて、かねてからその集大成となる展示をしたいと思っていたんです。ただ作品はすべて販売してしまったので、原画のデータしか手元になくて。最初はプリント作品を展示しようかという話もありましたが、やっぱり原画が揃う方が、絶対に楽しいと思ったんです。そこで改めて同じテーマで、これまでの500点を再び手描きで描きなおし、さらに追加で500点の新作を描き、合計1000点の作品を展示することにしました。

タイトルは、せっかく長期間開催される個展なのに「ペンギン千態」は硬いなと思って、「ペンギンアパートメント」と名づけました。今回の展示作品もゆくゆくは販売していきますから、厳密に言えば分譲アパートメントでしょうか(笑)。額もオリジナルで窓枠のような形にして、「この中でどんな暮らしをしているのかな」という好奇心を持って見ていただけるように、ちょっと楽しい感じにしました。

いきものであり、
キャラクターであり、
自分の分身としても描けるところが
ペンギンの魅力

── さかざきさんが描くペンギンや猫などのいきもののキャラクターは、シンプルなのに表情や仕草が絶妙で、「どんな気持ちなのだろう?」と想像を掻き立てられます。今回の展示に向けて作品を描いていく中で、新しい発見はありましたか?

いきものを見ていて「かわいい」と感じる理由は、人間ほど笑ったり怒ったりの表情が豊かではないところだと気づきました。表情があまり変わらないからこそ、見ているこちらがちょっとした変化でも「笑っているのかな」とか「何かを訴えかけているな」と想像力を掻き立てられて、そこにかわいさを見出せる。そう考えながら描き続けていくうちに、いきものの自然な魅力を引き出すのもうまくなった気がしています。

── 作品を制作していて、手応えを感じる瞬間はどんなときでしょうか?

私自身、ペンギンは大学生の頃から好きで描いていましたが、その頃から作家というよりも職人のような感覚があって。自分の名前は表に出なくてもよくて、作品をコツコツ作り続けていく中で素敵なものが生まれて残っていったらいいなと思っているんです。いい塩梅の形が描けて、自分でもかわいいと思えるときは、手応えを感じます。また普段のキャラクターデザインの仕事では、基本的にデジタルで作業を完結させているのですが、展示の場合はちょっと特殊で、デジタルで描いた原画を元に手描きで描き起こすという手順を踏んでいます。簡単に修正できないので、一発勝負。特に最後に目を描き入れる時は、いつも緊張します。表情が一番出る部分なので。

── 25年以上にわたってペンギンを描き続けてこられたと思いますが、改めてペンギンの魅力はどんな部分にあると思いますか?

ペンギンは鳥だけど、2足歩行をするちょっとユーモラスな生き物で、人間のように見えたりもします。色はシンプルな白と黒で、ユニセックスなイメージもあるから、かわいいという方向にも行き過ぎずちょうどいいバランス。だからペンギンという動物として描くこともあれば、キャラクターとして描くこともできて、好きなように表現できるんです。特に『ペンギンゴコロ』をはじめとする絵本では、ペンギンに自分を投影して描くこともあって、私にとって大切なモチーフになっています。まさに人生の相棒ですね。

グラニフなら、ファンの方々にとって
嬉しいアイテムになると思った

── 今回グラニフとは初のコラボレーションとなりますが、商品化の声がかかった時、率直にどう感じましたか?

これまでもたくさんの作家さんとコラボレーションされてきたのを見ていたので、嬉しかったですね。それに声がかかったのが、ちょうど展覧会の企画が決まったのと同じくらいのタイミングだったので、こういう大きな展示を開催する時にグラニフさんからコラボアイテムが出たら、ファンの方々に一層喜んでいただけるのではないかと思いました。

── 実際にグラニフでも、さかざきさんのファンの方々が欲しいのはどのようなアイテムだろう? と、想像を働かせながら考えさせていただきました。さかざきさんは今回のグラニフとの取り組みに対して、どのような期待がありましたか?

実は以前から、「ラムチョップ」や「ローリングパンダズ」など、グラニフさんのキャラクターやアイテムに注目していて、気の利いた素敵なものが多くていいなと感じていました。グラニフさんの商品は、キャラクターがアイテムに落とし込まれることで楽しく、自由になっていく印象があります。今回ペンギンや猫、チーバくんを使ってグラニフさんにデザインしていただけるとなり、どんなアイテムになるのかすごく楽しみでした。

シンプルさの中に
ユーモアとこだわりが詰まっていて
大人の私も「着たい」と思える

── ここからは、アイテムの実物を手に取って見ながら、お話を伺いたいと思います。まず、今回のラインナップの中で一番好きなアイテムを教えてください。

これは私も着たい! と真っ先に思ったのが、ストライプのシャツワンピースです。よく見ると、ストライプが海の波のようにゆらいでいて、その中をペンギンが魚たちと一緒に泳いでいます。このシャツワンピースは私もイベントの時などにぜひ着たいと思いましたし、大人の女性にもおすすめしたいですね。

── 世代を問わず、着やすいデザインにこだわりました。続いて、思い入れのあるアイテムを教えてください。

ペンギンと猫のイラストを使ったTシャツですね。私は猫もすごく好きで、飼っている猫をモチーフにたくさん描いてきました。毎日のように見ている存在だからか、他の動物と違って自由に、生き生きと動かせるんです。色々な猫を描いてきましたが、一番思い入れがあるのが、最初に飼っていたペンギンみたいな柄の白黒猫。すごく甘えん坊さんで、相思相愛の仲でした。この猫はペンギンと並べて描くことが多いのですが、その時はペンギンに自分自身を投影しながら描いているように思います。

もうひとつは「じっと見ている」というタイトルのイラストを大胆に切り抜いた子ども用のTシャツですね。このTシャツの黒猫は、今飼っているニコちゃんという猫がモデルになっています。元々保護猫だったので、警戒心が強いんです。一緒に暮らしてもう何年も経ちますが、私が帰宅する時などは、玄関まで迎えに来るのに、私が部屋に入ってくると1回逃げて、また戻って来るんですよ(笑)。そんな謎の行動をするニコちゃんのツンデレな感じが、このTシャツには出ていると思います。

── 実はこのTシャツ、キャラクターを強調させるためにポケッタブル仕様にしていて、ひっくり返すと青い目の子猫が出てくるようになっています。

そうなんです! 実際に触ってみると、驚きがあっていいですよね。すごくかわいいです。この青い目の子猫は、エゴン・マチーセンの『あおい目のこねこ』という絵本に出てくる猫をオマージュしたイラストなんです。つらいことがあってもへこたれないで、楽しいことを考えようという気持ちがこもっている作品で、子どもにも前向きな気分が伝わったら嬉しいですね。

── 今回のラインナップには、チーバくんを用いたアイテムもあります。

チーバくんはちょっと面白いつくり方をしていて、千葉県の形になるよう最初から横顔でデザインをしたキャラクターです。色も思い切って、インパクトのある赤と黒と白だけにして、正面の姿や色々なポーズをたくさん考えていきました。最初はゆめ半島千葉国体のキャラクターとして生まれましたが、千葉の方々に育てられて、いまや全国的に愛される県のマスコットキャラクターになりました。今回のチーバくんを使ったTシャツと靴下も、動きのあるイラストがふんだんに使われていていいですね。

素材の組み合わせや大きさの緩急から
キャラクターの新たな魅力に出会えた

── 「こんなアイテムもあるんだ」と驚いたものはありますか?

背中にパンダとペンギンがプリントされたビッグシルエットTシャツですね。表側のポケットの上に、寝そべっているペンギンを小さく刺繍するというデザイン案を見た時は、「このイラストが選ばれたのか」と意外に思いました。

── さかざきさんの作品は、キャラクターのリラックスした表情がすごくかわいいので、それを活かしたいと思い、このイラストを選びました。

素材の組み合わせや配置、大きさの緩急に、グラニフさんらしい自由な遊び心が盛り込まれていますよね。自分にはない観点でつくられているので、とても新鮮でした。ハットにも、頭の上の部分に泳いでいるペンギンを上から見た姿が刺繍されていて面白いです。あとはトートバッグ。お腹の白い部分をふっくらとした質感にしていて、黒い部分のツルッとかたい質感との対比がおもしろいですよね。無意識にふわふわと触ってしまいそうなかわいさです。

── 最後に、今回グラニフとのコラボレーションしてみて、改めて感想を教えてください。

私のファンの方々は、すでになにかしらのペンギングッズを持っていたり、目の肥えた方が多かったりもすると思うのですが、今回のコラボレーションではそんな方々も納得できる、使いたいと思えるものになったと思います。今後またコラボレーションできたら嬉しいですね。

Profile

さかざき ちはる

千葉県生まれ。絵本作家・イラストレーター。文具会社のデザイナーを経て、1998年よりフリーのイラストレーターとして活動を開始。JR東日本「Suicaのペンギン」、千葉県のマスコット「チーバくん」、ヤマトホールディングスの「クロネコ・シロネコ」など、数多くのキャラクターデザインを手がける。また、初期の絵本作品『ペンギンゴコロ』より、ペンギンのイラスト制作はライフワークとなっている。2023年にはその集大成ともいえる1000態のペンギンを描いた個展『ペンギンアパートメント』を開催。

代表作のペンギンに、
白黒猫やチーバくんも。
日常に遊び心を加えるコレクション

シンプルでありながら、ストーリーや
感情が読み取れる。
さかざきちはるが描くキャラクターの魅力を
洋服やバッグというフィールドで膨らませた
Tシャツやワンピース、小物など
全16アイテムを紹介。

さりげなく、
たくさんのペンギンを連れて出かけよう

今回のコラボレーションでは、さかざきさんのイラストのユーモアを活かしながら、幅広い世代の方々に受け入れられるよう、さりげない遊び心を意識したデザインに。特にペンギンのイラストは、歩くペンギン、走るペンギン、泳ぐペンギン、寄り添うペンギンなど、数ある作品の中から動きに注目してセレクト。見ていてほっこりする自然体のペンギンを、質感を大切にしながら色使いを抑え、グラフィカルなデザインに落とし込みました。さかざきさんも「さりげないけれど、おもしろい」と手にとっていたハットは、トップパネル部分に泳いでいるペンギンが。そしてブリム裏には、色々なポーズのペンギンの柄がプリントされています。

掲載アイテム

親子でおそろいも。
リラックス気分を味わえる定番Tシャツ

床にぺたりと座ってくつろぐペンギンのイラストを前面に、背面には行進するペンギンたちを小さくプリントしたTシャツ。生地のスカイブルーの涼やかさがリラックスしたペンギンとマッチ。キッズサイズもあり、親子で着たいシリーズです。

掲載アイテム

シンプルだけど遊び心満載。
白黒の動物たちが集結

ペンギンだけでなく「猫やパンダも好き」というさかざきさん。背面にパンダとペンギンが背中合わせで座るイラストがプリントされ、前面に寝そべってくつろぐペンギンが小さく刺繍されたビッグシルエットTシャツは、カンガルーポケットに手を入れてほっこりした気分になれる仕上がりに。ペンギンとペンギンにそっくりな柄の猫が前ならえをしているTシャツは、使いやすいベージュカラーでユニセックスに着ることができる。ポケッタブル仕様のキッズ用Tシャツは、さかざきさんも「かわいい」と満面の笑顔になるほど愛らしい一枚。

掲載アイテム

隠れペンギン発見!
日常のおしゃれに溶け込むデザインウェア

「パッと見てシンプルで、なによりユニセックスでキレイなシルエットだから、普段使いできそう!」と、さかざきさんが感動したカーディガンは、ポケット部分にペンギンの顔がお目見え。内側にはドット柄に扮した色々な種類のペンギンや猫のパターンをプリントしているのもポイント。同じくドットパターンがちらりと裾からのぞくワンピースも、日常使いからお出かけまで、様々なシーンで活躍しそうなデザイン。モノトーンカラーでシックに仕上げて、ファッショナブルな仕上がりに。

掲載アイテム

ペンギンの親子のように、子どもと
お出かけしたくなるラインナップ

今回のコラボレーションアイテムには、キッズ向けグッズも充実。ハット、トートバッグ、靴下は大人用もあり、お揃いでの着用も可能。キッズ向けのハットのトップパネル部分には、モコモコとした姿がかわいい子どものペンギンが。横長のトートバッグは、内側の収納ポケットも実用的で、子どもの習い事用のレッスンバッグとしても活躍してくれそう。

掲載アイテム

見ていると思わず笑顔になる、好奇心旺盛なチーバくん

「色を決める時、黄色か赤色で悩みましたが、赤にしたことで皆さんに愛されるキャラクターになりました」とさかざきさんが語るチーバくんは、そのインパクトのある赤色を活かし、Tシャツとソックスに落とし込みました。Tシャツとソックスをセットでコーディネートした着こなしもオススメ。ペロッと舌を出したチーバくんの愛嬌たっぷりな表情が目を引くアイテムです。

掲載アイテム

夏に大活躍間違いなし。
爽やかなストライプの中を泳ぐペンギンと魚たち

ブルーのストライプ柄が夏にぴったりのノースリーブのワンピースは、「自分が着ている姿を想像できる」とさかざきさんが太鼓判を押した一品。悠々と泳ぐペンギンたちが全体に散りばめられ、よく見ると揺らいでいるストライプが海の中を連想させて、より涼しげな気分に。さらにポケットの中には子どものペンギンを刺繍し、ボタンもさかざきさんの名前が刻まれたオリジナルボタンを使用するなど、細部までこだわりました。同じ柄のキッズワンピースはポケッタブル仕様で、ひっくり返すとこちらも子どものペンギンが現れます。

掲載アイテム

撮影/取材:中野理、静物:村本祥一<BYTHEWAY> 取材&文/宇治田エリ

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